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2011.4.11

東日本大震災被災者への緊急提言 - 阪神淡路大震災の被災者から

 

 

 

早川和男(神戸大学名誉教授)

伊賀興一(弁護士)

中島絢子(「公的援助法」実現ネットワーク 代表)

山村雅治(市民=議員立法実現推進本部 事務局長)

事務局:兵庫県芦屋市船戸町4-1-301 山村サロン内

市民=議員立法実現推進本部

電話 0797-38-2585 FAX 0797-38-5252

メールアドレス yamamura@y-salon.com

 

 

 2011年3月11日の大地震、大津波という「自然災害」に加えて、純然たる「人災」である福島第一原発事故による重なる被災に心からお見舞い申し上げます。

 阪神淡路大震災(1995年)で生活基盤を破壊されマイナス状態に陥った私たち被災者が生活基盤を回復するには公的支援が不可欠でした。当時、村山首相は「生活再建は自助努力が原則」と言い放ち、棄民の態度をとりましたが、災害救助法以外に被災者支援の法を持たぬ状況下、私たち被災者は、政府責任による公的援助を行うための「市民法案」を提起し、壮絶な被災者運動を展開して、「被災者生活再建支援法」(1998年)を実現しました。しかし被災者保護として不十分な内容であったため改正運動に取り組み、さらに市民案として「生活基盤回復援護法(案)」を提起してきました。

 「被災者生活再建支援法」は数次に亘って法改正されたとはいえ、いまだ不十分であり、東日本大震災の実情を踏まえた抜本的改正が、急務です。

このことを指摘した上で、今回の事態に対して、次のことを提案します。

 

1.震災被災者へ公的援助を

 東日本大震災は、被災者の生活基盤の破壊とともに、漁業、農業、畜産業など第一次産業の被害甚大で、「職業基盤」が瞬時に破壊された実態に即して、「職業基盤」の再建をも、住居などの「生活基盤」回復とともに公的に援助すべきです。

 「阪神」では失業した被雇用者には「雇用保険」が支給されましたが、雇用者(中小・零細企業の自営業者)は対象外でした。(「阪神」に被災した商店、飲食店などは、いまなお再建費用の負債にあえいでいます。)

 「東日本」では、そのようなことがないように、中小・零細事業主にも雇用保険を支給することが事業再建を後押しするうえで不可欠です。

 解雇を回避し、事業を再建するために、被災者で事業所に雇用されていた人には、雇用関係を維持しながら雇用保険を支給すべきです。これによって基盤を破壊された事業主は人件費の負担が軽減され、従業員とともに事業の再建に集中することができるばかりか、被災地域社会再建への活力を生み出すのです。

 これらと合わせて、被災地域社会の維持・再建のために住宅再建2000万円、事業再建資金1億5000万円の政府融資が真剣に検討されるべきです。これは、アメリカのFEMA(危機管理庁)においてすでに実施された処置です。

 

2.原発被害者に賠償金の支払いを

 「福島原発」事故のもたらす2次的な、「東京電力」の「人災」による被災が続いています。強制的に移住させられた被災者、20q圏外の「自主避難」させられた被災者、風評被害によって困窮する被災者など、地域社会を奪われ、生活や職業を断絶、消滅させられ、絶望と苦悩で呻吟する被災者に対して、政府と東京電力は次のことを実施しなければなりません。

 「原子力損害の賠償に関する法律」第3条に定める「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りではない」との「但し書き」にあたらないことを認め、

 @ ただちに「強制移住」させた人たち、「強制移住」によって「職業基盤」を奪われた人

たちに対し、「被災者生活再建支援法」による給付とは別に、賠償金の仮払いとして、生活者に対しては一世帯あたり人数に応じて月額15万円から35万円の範囲内で生活運営に資する資金を支払うこと。

 A また、事業主に対しては、先にあげた雇用保険の適用に加えて、賠償金の仮払いとして

一事業主あたり月額30万円から100万円の事業再建に資する資金を支払うこと。

 

 これらの措置は福島原発が放射能放出を停止するまで続ける必要があります。

 福島原発が今回の地震と津波に対応できずに、いまもなお放射能を放出し続けている事態は、地上に生きとし生けるものとして許せるものではありません。

 

3.憲法に基づく国民の「権利」です

 「阪神淡路大震災」当時の棄民政策からすれば現政権の対応には評価すべき点は多々あります。しかしながら、被災者とともにあって奮闘努力されている被災自治体の声に、もっと真剣に耳を傾ける必要があります。

 被災者の生活再建と事業再建の道は険しく厳しいものです。被災者・被災地支援は国の責任において果たされなくてはなりません。被災者が救われることは国からの「お情け」ではなく、憲法13条(幸福追求権)に基づく国民の「権利」です。

 

 ともに発言し、実現に向けて、努力し続けましょう。

 

 

 

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